埼玉新英研12月例会報告

201412月1日(日)午後1時半から

さいたま市立浦和コミュニティセンターにて、8名参加。

レポート①「英語の授業を通して育みたいこと」

   道祖土 亜由美さん(さいたま市立川通中学校)

   埼玉の私立高校から教員生活をスタートし、その後公立中学校へ、生徒数が1クラス約30人、教員約20人、全学年3クラスで1学年に所属、3年の英語も1クラス担当されている。

 道祖土さんは、英語の学力をつけることの他に+αを考えて授業をしています。その+αとは、中学卒業までに勉強の仕方を身につけて欲しいという願いから、

1)自分で学習するための力と習慣を育てること。具体的には自分のミスに気付ける力と辞書を使える力の育成に力を入れています。そして、

2)考える力・感じる心を育てることを大切にしています。

 時には投げ込み教材(ロングマン社のTRUE STORIES IN THE NEWSやオックスフォード大学出版のIntroductory Stories for Reproduction )で考えさせたり、また教科書の題材を深める授業をしています。『サンシャイン』の3年プログラム7は、ボランティア医師の山本氏が世界中でボランティア活動をしながら、子どもたちに一番大切な物を絵に描くように問う話ですが、そこから What Is the Most Important Thing to You?のプリントをつくり、生徒に自己表現をさせました。「家族」や「友だち」、「転校するとき友だちからもらった物」などを生徒は書いていましたが、なかには「お金」なども。またこのプリントで世界の子どもたちに目を向けることが少しできました。教科書のなかのシエラレオネという国は、世界で一番命の短い国だそうです。何と平均年齢は34歳とか!内乱などの影響もあるのでしょうか。残念ながら教科書にはそのような記述も自己表現の課題もなく、題材を深める目を教える側がきちんと持つことの大切さを、改めて教えられました。

レポート②

「英語っておもしろいかも~苦手な子どもの気持ちにより添いながら」

   小池 奈津夫さん(草加西高校)

   学童保育に関わりNPOの法人を立ち上げるなど、教職以外にも多忙な生活を送っている小池先生。学校では今年から生徒会の仕事を担当し、そこで生徒会の本部会が開かれていないことを知り、今年から毎週1度本部会を定例化させました。また生徒総会では初めて生徒から要望が出され、校長も民主的で生徒たちと話し合いを持ちながら、要望にしっかり向き合っているとのことでした。

 草加西校は、生徒指導により最近生徒は落ち着いてきました。教員は50名で毎年新採用者が多く入り、年代も50代と30代以下が中心で、臨採や再任用教員も多いです。小池先生は授業は「できる限り手を抜くか、時間をかけないでやるか」を心がけていると語り始め、参加者の笑いを誘っていましたが、勿論手抜きの教師ではなく、公教育の中で英語教育は何を目指すべきなのか、ということを真剣に考えている先生です。そして「コミュニケーションは大切なのでしょうが、うちの学校の生徒を見ていると、全て英語による授業などということはあり得ない話で、英語嫌いをつくるだけの話でしかない」ということばに、皆共感を覚えました。そして小池先生は、「英語は私は無理です、ということではなくて、嫌悪感とか抵抗を取り除くようにし、学んでいけば少しはおもしろい、やればできるんじゃないか」という感覚や気持ちを生徒が持てるようにしたいと考えています。そして人格の完成を目指すことの他に、生徒の国語力の問題を痛感し、その大切さも訴えていました。

   授業は統一進度で特別なことはしてはいませんが、授業の最初に英語の歌をかけ(1週間に1曲)、『Call Me Maybe』ではゲイの問題を考えました。教科書は自作のプリント、単語のプリントもあれば復習プリントで進めていますが、「手を抜く」どころか生徒のことをとても大切にし、手を込め、生徒に寄り添い授業をしていることがとてもよくわかりました。そして「教育は人なり」ということばを、私は何度も思い出しました。

(文責:大栗 健二)